奈良にて白鳳天平時代を堪能

本日は、せっかくの奈良なので朝からお寺回り。まず最初は、西の薬師寺へ。狭い小道を進むと、美しい西塔が迎えてくれます。

実は、昨日ホテルで”東塔水煙降臨展”というポスターに気づいたのです。現在、薬師寺の東塔は改修中ですが、このために下ろされた塔のてっぺんにある”水煙”が、63年ぶりに公開されているというのです。

薬師寺の水煙には、全部で24人の天人(飛天)が刻まれています。そのモチーフは、昭和40年頃の7円葉書に描かれていたので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?かく言う私も、幼稚園か小学生の頃にその葉書を見た覚えがあります。

恥ずかしながら、私はこの歳まで”水煙”なるものを知りませんでした。改めてみる天人の姿に目を奪われると同時に、この機会を逃せばもう一生見ることができないと思うや、薬師寺南門に降り立っていた次第。

伽藍に入ると、昭和56年に再建された西塔が迎えます。その美しさは、輝かんばかり。6つの屋根が見えますが、実はこの塔は三重の塔。「青丹(あおに)よし」という枕詞がありますが、これが万葉の歌人が愛した色調なのですね。

お隣の東塔はと言いますと、このように解体修理中となっています。

その横に、今回お目当ての”東塔水煙降臨展”の会場があります。期間は今月30日まででしたから、滑り込みセーフ。

会場は鉄工所の中のような殺風景さですが、この中に目指す水煙(写真左)が鎮座しておりました。思っていたよりも遙かにおっきぃ〜〜〜!水煙を支える宝輪(写真右)も驚くほどでかい!

水煙は、炎の造形を取ってはいますが、火災を防ぐ祈りを込めて、このように名付けられているようです。その本体は合計8枚から構成され、それぞれに三人の天人が終の住み処を見つけています。うち二人は天から真っ逆さまに落ちていくような、動きのある姿勢。一番下の一人は、雲に乗って天がけるように優雅に横笛を吹いています。

普段は誰も見るはずのない水煙に、当時の工人はどのような思いで天人を鋳造したのでしょうか?銅製の表面には、緑青がふいていますが、その紋様がまるで炎のように見える不思議。1300年という気が遠くなるほどの時を旅してきた水煙、そして灼熱と風雨、絶え間ない落雷が生み出した奇跡の紋様を目前にし、しばし言葉を忘れてしまいました。自然が緑青に刻んだ紋様は、水煙全体を見なければ分かりません。やはり、本物は凄い。

飛行機の時間が迫っているので、後ろ髪をひかれる思いで薬師寺を後にし、唐招提寺に向かいます。

唐招提寺は、白鳳に続く天平時代、鑑真により建立されたお寺ですが、薬師寺のような塔がないため、遠目にはこんもりとした森にしか見えません。

しかし、門の向こうに控えるは、1200年以上の時を旅した大伽藍。京都とは違う空気を感じます。

今回の旅を通して、私はすっかり”奈良ファン”になってしまいました。修学旅行の時には全く気づきませんでしたが、歳を重ねないことには見えてこないものもあるのですね。この度の御縁に感謝します。